小野田化学工業株式会社では下水汚泥燃焼灰から『菌体りん酸肥料』を生産、次いで生産した菌体りん酸肥料を主原料に使用した『加工りん酸肥料』の開発を進めています。具体的には、①く溶性りん酸濃度で15~17.5%を保証、②全りん酸のうち、く溶性りん酸が90%以上を占める加工りん酸肥料の開発です。本開発にあたり農林水産省の『令和7年度国内肥料資源利用拡大対策事業費補助金』に採択されました。
当社は太平洋セメントグループとして、太平洋セメント株式会社における下水汚泥燃焼灰のセメント資源化処理とともに、生産者が使用しやすいりん酸のサーキュラーエコノミー(循環経済)に貢献する肥料の開発で、下水汚泥燃焼灰の活用を加速させます。
*く溶率:全りん酸に占めるく溶性りん酸の割合
く溶性りん酸:作物が利用できるりん酸
全りん酸:含まれる全てのりん酸
国内で使用されるりん酸肥料とその原料の大半は海外からの輸入に依存しています。昨今のウクライナ戦争や自然災害等の地政学的な問題から、輸入価格の高騰、輸送そのものが停滞するリスク回避に向け、日本政府は令和4年9月6日の下水資源をエネルギーや緑農地の活用にする『新たなバイオマス活用推進基本計画』を閣議決定しました。現在は国土交通省、農林水産省を中心に推進計画を策定、実行しております。
下水汚泥燃焼灰はりん酸肥料原料である燐鉱石に匹敵する全りん酸含有量を示しますが、植物が吸収できるりん酸(く溶性りん酸)は全りん酸に対し約40%程度しか含まれていません。即ち、半分以上のりん酸は肥料利用されることはなく、サーキュラーエコノミーの面では不十分でした。弊社では下水汚泥燃焼灰中の全りん酸のうちく溶性りん酸の占める割合を90%以上に高め、また農業生産者や配合肥料にも利用されやすくするためく溶性りん酸濃度で15~17.5%を保証する肥料を新たに開発しました。
今回の補助金採択により開発速度を高め、今年度下期には新たな加工りん酸肥料を市場に供給する予定です。